脱炭素社会を目指すセメント・コンクリート分野の取り組み

担当講師:佐藤 正己

近年,脱炭素社会が社会問題になっている。セメント・コンクリートは,社会インフラを構成するために最も多く利用されている材料である。

しかし,コンクリートを製造するために使用されるセメントは,製造時に多くの二酸化炭素を排出するために,セメント産業・建設業では社会的な課題となっている。

本講義では,セメント産業,建設業,研究機関での取り組みについて行います。

河川環境の改善ができる地球の医者を目指して

担当講師:安田 陽一

日本に限らず世界各国で河川に生息する水生生物の生息環境は,人の生活環境を守るための利水・治水の観点から整備された河川横断構造物によって大きく影響されています。
その結果,水生生物の移動・遡上・降河が困難な箇所が多くあります。これからの時代は,生態系保全につながる環境改善の技術を具体的に見出し,実践的に実施していくことが土木工学の役割の一つとして認識しています。

私の専門分野は環境水理学であり,大津教授と共に局所的に複雑な流れ(局所流)の特性を解明し,その研究成果が国際的に認められています。
2000年以降では,河川横断構造物による水生生物の遡上・降河・移動の妨げを解消するための魚道の研究に着手しました。局所流の研究成果を魚道の研究に反映させ,研究成果に基づき160箇所以上の提案魚道が整備され,構造物本来の機能を損なうことなく,多様な水生生物の遡上・降河・移動が可能な環境にすることに成功しました。

写真右上:遊泳魚ばかりでなく底生魚・甲殻類・貝類の遡上・降河を可能にし,景観に配慮した河川横断構造物の改良を提案しました

写真右下:都市河川の洪水調節機能を損なうことなく,多様な水生生物に配慮した魚道設備を提案しました

景観に配慮した河川横断構造物の改良
遊泳魚ばかりでなく底生魚・甲殻類・貝類の遡上・降河を可能にし,景観に配慮した河川横断構造物の改良を提案しました
多様な水生生物に配慮した魚道設備
都市河川の洪水調節機能を損なうことなく,多様な水生生物に配慮した魚道設備を提案しました

水をきれいにしながら温暖化防止も考える

担当講師:吉田 征史

生物は水がなくては生きていけません。
しかし,私たち人間の生活が便利になったことで排出量が増加した生活廃水・工場廃水などにより,水域では有機物・窒素・リンといった物質が増え,その結果,植物プランクトンが大量増殖し,まるで緑色のペンキを流したような汚い水域になってしまいます。
さらに近年,地球温暖化を起因とした海面上昇や異常気象などが続き社会問題となっています。
温暖化の原因としては化石燃料の燃焼(例えばガソリンの使用)による二酸化炭素(CO2)の増加が思い浮かぶと思いますが,日本のような火力発電をメインとしている国では電力需要の増加も大気へのCO2排出量を増加させます。

「水」と「大気」,別の環境問題を話しているようですが,水が蒸発すれば水蒸気が大気中へ放出されるように,実はとても密接に関わっています。

上に書いたような汚れた水域をきれいにするには,汚れている現場での対策と,水域への汚染物質の供給量を削減する対策(例えば下水処理)があります。

本講義では,水および汚濁物質の水中と大気中での循環,微生物による廃水処理の仕組み,それに伴う温暖化ガス排出抑制への関わり,そして水をきれいにしながら発電も行なう試みについてお話しします。

藍藻(植物プランクトン)
(顕微鏡写真)
藍藻(植物プランクトン)
(顕微鏡写真)
図2
気液平衡を利用して温暖化ガスを採取
図2
気液平衡を利用して温暖化ガスを採取
図3
微生物による排水処理と発電
(微生物燃料電池)
図3
微生物による排水処理と発電
(微生物燃料電池)

高速水流とその制御

担当講師:佐藤 柳言

日本には,2500基以上の数のダム(写真1)が整備されています。
ダムは,洪水調整・水資源の確保・水力発電・河川環境保全などを目的に造られるもので,我々の生活に欠かせない土木構造物の一つです。

ダムの堰上げによって貯められた水は位置エネルギーの大きい状態になるため,ダムからの放流水は大きな運動エネルギーをもつ流れ(高速水流)となります。
このような高速水流をダム下流側の河川・水路にそのまま流下させてしまった場合,河道・橋梁・道路などの施設や人家に被害を及ぼすことが想定されます。
このような事態を未然に防ぐため,ダム下流側には流水の運動エネルギーを小さくするための構造物(減勢工)を設けることがあります。

本講義では,代表的な減勢工を例に挙げ,ダム下流側で高速水流がどのように制御されているかを説明します。
また,私の研究グループが実施してきた高速水流制御の研究の一端を紹介します。
この講義を通じて,土木工学に水の流れに関する力学(水理学)の分野があることを知り,流水現象の不思議さと面白さを実感できることでしょう。