量子で実現する究極的な情報技術

担当講師:行方 直人

身の回りの物質,光(電磁波)などをミクロな領域まで分解していくと,それらの振る舞いは量子力学によって記述されます。量子力学が誕生してから100年ほど経ち,今や量子力学のコンセプトは情報社会へ実装されようとしています。
その例として,盗聴を完全に無意味化する「量子暗号」や一部の困難な問題が高速に計算できる「量子コンピューター」が挙げられます。どちらも量子力学の原理を用いなければ絶対に成し遂げられない性能を持っています。

これからの社会を担う皆さんは,量子力学が常識となる世代,「量子ネイティブ」にならなくてはなりません! 
そこで,本講義では,皆さんが「量子ネイティブ」になるための一助となるよう,量子力学の基本原理である,「波動性と粒子性の二重性」,「干渉」,「不確定性関係」を分かりやすく解説し,「なぜ量子暗号で安全な通信ができるようになるのか?」や「なぜ量子コンピューターは高速な計算ができるのか?」などを直観的に理解できるように説明します。そして,今後どんな「量子」情報社会となっていくのかという展望も紹介します。

開発した量子暗号(量子鍵配送)用単一光子検出器
開発した量子暗号(量子鍵配送)用単一光子検出器。
(実用的な半導体を用いたものでは世界最高性能)
光量子ウォークシミュレータ実験系
光量子ウォークシミュレータ実験系

交通ビッグデータによるスマートな都市交通の創造

担当講師:石坂 哲宏

現在の都市交通システムは,様々なビッグデータによって支えられています。
身近な交通ICカードなど公共交通機関を便利に快適にさせる情報や,車両感知器などの道路交通情報など自動車を使った移動を最適にする情報まで様々です。

複雑で多様化する交通問題に対応するためには,全ての物事に対して情報を活用して有機的に連携する必要があります。
鉄道は鉄道,バスはバス,自動車は自動車のためだけでなく,複数の交通機関のビッグデータを有機的に活用し,混雑緩和や環境改善に適用している事例を具体的に紹介いたします。
また,現在の交通状況を把握する技術として,移動している車両から直接交通情報を収集するプローブ情報システムを,車両が動くコンピュータグラフィック(交通シミュレーション)を利用して,紹介したいと思います。

自動運転バスのシミュレーション
自動運転バスのシミュレーション
有機的な連携
有機的な連携

都市・交通の観点からのSDGs-地球温暖化と生物多様性の観点から-

担当講師:伊東 英幸

近年,地球規模での環境問題として地球温暖化や生物多様性の減少が大きな問題となっています。
これらの問題の解決に向けて持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)が2015年に国際連合で採択され,世界中の課題に対処するための17の具体的な目標が示されました。

私の講義では,都市と交通の観点から現状の地球温暖化や生物多様性に関する現状と課題を解説するとともに,私達の生活は地球が何個必要な生活をしているのか,電気自動車は本当に環境に優しいのか,再生可能エネルギーを活用したカーボンニュートラルな交通とまちづくりの事例,自動車と動物の事故(ロードキルなど)の現状や生物多様性との共生を目指した交通などに関する講義を行います。

持続可能な開発目標(SDGs)
持続可能な開発目標(SDGs)
ロードキル対策
ロードキル対策

生活道路の交通安全

担当講師:小早川 悟

日本の交通事故件数は平成から令和にかけては減少傾向が続いています。
それでも年間2000名をこえる人が交通事故で亡くなっています。現在,交通事故ゼロを目指して様々な取り組みが行われています。

近年,特に注目されているのが生活道路での交通事故対策です。幹線道路と異なり,狭い道路にもかかわらず,自動車と歩行者,そして自転車などが混在して通行する生活道路での交通安全対策の事例を紹介しながら,都市計画や道路計画の考え方にもとづいて,交通安全対策の最新情報も含めて身近な道路での安全について講義をします。

生活道路の交通実態調査
生活道路の交通実態調査
住民の方々への説明会
住民の方々への説明会
交差点での交通事故対策(カラー舗装)
交差点での交通事故対策(カラー舗装)
交差点での交通事故対策(自転車矢羽根とカラー舗装)
交差点での交通事故対策
(自転車矢羽根とカラー舗装)

衛星を使って自分の位置を知るしくみ

担当講師:佐田 達典

テレビで天気予報を見ていると日本付近の雲の画像がよくでてきます。
これは気象衛星から撮影した画像ですが,このように現在人工衛星の利用が身近になっています。
衛星には様々な種類がありますが,GPS という衛星からの電波を受信機で捉えると,私たちの現在位置を正確に知ることできます。
カーナビゲーションや携帯電話に使われているのでご存知の方も多いでしょう。

カーナビで使われているGPS 受信機は位置の測定誤差が10mもあります。
しかし,特殊な受信機を用いると10mm の誤差で位置を測定することができます。
このGPS 衛星を利用した測量システムは,高度な測量や日本列島の地殻変動観測に利用されています。(日本列島はきわめてゆっくりですが動いています。特に地震の時に大きく動きます。GPS はこの地殻変動を捉えます。)
またリアルタイムに自分の位置と方向がわかるので,建設機械の自動制御にも応用されています。

GPS のしくみをやさしく解説し,測量や交通・建設分野における最先端の応用事例を紹介します。

衛星測位のしくみを知ろう
衛星測位のしくみを知ろう

鉄道構造物のつくりかた

担当講師:谷口 望

皆さんが普段使用している鉄道ですが,鉄道車両を支える構造物には交通基盤技術が使用されています.
具体的には,計画・構造設計・製作・建設・維持管理などには,それぞれ工学的な技術が複数組み合わされており,その中で交通システム工学は必要不可欠になります.

本講義では,これらの技術に関して,具体的な事例をもとに紹介し,どのような場面で交通システム工学が活用されているか実例写真を用いながら説明していきます.
また,交通システム工学科で学ぶ学習内容が,実際の社会でどのように役立っているかについても紹介します.

鉄道構造物(ラーメン橋脚)の例
鉄道構造物(ラーメン橋脚)の例
鉄道駅構内改良工事の様子
鉄道駅構内改良工事の様子

世界とつながる空の玄関-成田空港,羽田空港の役割と課題-

担当講師:轟 朝幸

最近「グローバリゼーションという globalization」という言葉をよく聞きませんか。国際化社会の進展を指す言葉です。
このグローバリゼーションを支えているのが「交通」です。なかでも長距離を高速で移動できる航空輸送の役割は,ますます重要となっています。

わが国首都圏の空の玄関は,成田空港と羽田空港です。
この2つの空港では,毎日たくさんの人々を迎え入れたり,送り出したりして,わが国のグローバリゼーションを支えてきました。
これらの空港がこのように立派な役割を果たすようになるまでには,いくつもの課題を克服してきました。
旅客や貨物の利用者増加への対応,飛行機の大型化への対応,騒音などの地球環境問題,海域埋め立てなどの自然環境問題,大地震への備え,首都圏各地域との地上アクセス交通問題など,たくさんの苦悩がありました。
いくつかはいまだに解決できていない課題もあり,解決にむけた努力がなされています。

この授業では,成田空港と羽田空港がどのような役割を果たしているのか,どのように課題を乗り越えてきたか,いまだ残る課題にどのように対応していくのかを紹介します。

東京湾へ沖合い展開された
羽田空港
東京湾へ沖合い展開された
羽田空港
東京湾へ沖合い展開された
羽田空港

土を軽くする,強くする(地盤の軽量化・補強の新技術)

担当講師:峯岸 邦夫

国土の狭い我が国では,埋立て地のような地盤条件の良くない場所にも交通施設(道路や鉄道,空港など)を建設しなければなりません。
その際に従来のような重い材料を使って建設をすると地盤沈下を起こし,交通施設に大きな影響をもたらします。

そこで,地盤沈下を起こさないように発泡スチロールを単体や土に混ぜた軽い材料で交通施設を建設する技術や,元々引っ張られる力に弱い土に補強材という材料を挿入または敷設して地盤を強くする新しい技術について紹介します。

東京外環自動車道・三郷ジャンクション
東京外環自動車道・三郷ジャンクション

英国の橋-200年以上使われ続ける個性豊かな橋たちは橋梁美を実現している-

担当講師:齊藤 準平

イギリスには,200年以上も前に造られ,今も現役で使われている橋が数多く存在します。
世界初の鉄橋であるコールブルックデール橋,当時世界最長スパンを誇ったメナイ橋,そして“鋼鉄の恐竜”と呼ばれる巨大なフォース橋。さらに,ロンドンの象徴として開閉式構造をもつタワーブリッジ,渓谷に優雅な曲線を描くクリフトン吊橋,船を回転によって上下させる革新的なフォルカーク・ホイールなど,個性豊かな構造物が今もまちの風景と暮らしの中に息づいています。

なぜそれら橋は長い年月を超えて使われ続けているのでしょうか。本講演では,実際に現地調査した写真や体験を交えながら,「壊れない構造の工夫」「失敗から学んだ技術革新」「地域に支えられる維持の仕組み」に迫ります。
橋は単なる通り道ではなく,人の移動を支え,都市の発展を導き,日常の風景を形づくる存在です。
構造的に合理的で優れた橋は,結果として美しさも備えると言われます。

200年後も変わらず人々の生活を支える橋とは何か。機能とさりげない橋梁美の両立という視点から,そのヒントを一緒に探してみませんか。

クリフトンの吊り橋(ブリストル)
クリフトンの吊り橋(ブリストル)
タワーブリッジ(ロンドン)
タワーブリッジ(ロンドン)
フォルカークホイール(フォルカーク)
フォルカークホイール(フォルカーク)
数学橋(ケンブリッジ)
数学橋(ケンブリッジ)
スターリングブリッジ(スターリング)
スターリングブリッジ(スターリング)

最も身近な道路舗装の役割

担当講師:山中 光一

私たちが利用する交通施設(道路,鉄道,空港,港湾など)の中でも,最も身近なのが道路になります。
皆さんが自宅の外に出ればすぐに道路が広がっているのではないでしょうか?
この道路には,安全で快適に移動ができるよう舗装がされています。日本の道路は,そのほとんどが舗装され,舗装はあって当たり前のものとなっています。
しかし,舗装がされていない道路では,雨が降ったりすると路面は凸凹になってしまいます。舗装は,私たちが安全で快適に移動するためには欠かせないのです。

しかし,舗装に使用した材料が弱く,舗装厚が薄いと舗装はすぐに壊れてしまい,安全で快適な移動の妨げとなります。
また,舗装は地盤(土)の上に構築されています。弱い地盤の上に舗装を構築しても,自動車が走った時に壊れてしまいます。
そのため,舗装を作る際には,地盤やその構造も考慮しながら設計をする必要があり,使用する材料の特徴を十分に知っておく必要があります。
また,単に舗装と言ってもその種類は沢山あります。歩きやすい舗装とは?特殊な機能を持った舗装とはどのようなものなのか?様々な役割についても説明します。

授業では,舗装にはどのような特徴を持った材料でどのような構造に設計,施工されているのか,歩行者にやさしい舗装とはどんなものであるのか?を新しい技術や設計方法を含め紹介します。

舗装の断面
舗装の断面
景観に配慮した舗装(参道)
景観に配慮した舗装(参道)
まち中のブロック舗装(ドレスデン)
まち中のブロック舗装(ドレスデン)
道路以外にも使われるブロック舗装
道路以外にも使われるブロック舗装
特殊な役割を持った舗装
特殊な役割を持った舗装