建築デザインを追求する⽇々

建築学科/専攻

林 深音

鹿島建設株式会社 建築設計本部 KAJIMA DESIGN
2024年3月 建築学専攻修了

現在のお仕事の内容を教えてください。

「建築」の中でも意匠設計の仕事をしています。会社では設計部のデザイン特化組織「DAグループ」に所属しています。主な役割は、各プロジェクトのデザインの方向性を定めることです。具体的には、コンセプトの立案や建物のボリューム検討、内外装のデザイン、コンペへの参画など、多岐にわたるフェーズに携わっています。一人で黙々とアイデアを考えることもあれば、お客さんとの打ち合わせに参加してプレゼンを行ったり、上司や同僚とスケッチをしながら提案をまとめたりしています。最近では、構造設計者と協力して社外コンペに取り組み、賞を頂く機会もありました。このようにデザインの可能性を自由に追求できる環境で日々試行錯誤を繰り返しています。

設計本部があるKIビルのアトリウムで同僚と打ち合わせ

現在のお仕事に,学生時代の学びがどのように役立っていますか?

設計の基礎はもちろんですが、建築史・建築論や都市計画論の講義を通じて「過去の蓄積から未来を展望する視点」を養えたことが大きな財産です。過去の建築家の思想や都市の成り立ちを現代の新たな視座から分析する行為は、流行に左右されすぎない建築の在り方を考えることにつながり、私の大切な指針となっています。また、多様な背景を持つ仲間や個性ある教授陣と夜通し建築について語り合った刺激的な日々も忘れられません。議論や設計の中で磨かれた「当たり前を疑う力」は、今でも提案を模索する際の思考のベースになっています。大学での学びは、知識の修得だけでなく社会に対して建築でどう応えるかという「問いの立て方」を教えてくれたと感じています。

大学院に進学して良かったことは何ですか?

学部で網羅的に学んだ建築の知識を土台に、自分の興味を納得いくまで深掘りできる「時間」を得られたことが最大の収穫でした。院生時代は、膨大な資料や図面と向き合い、時間をかけて学問を突き詰めることが許される貴重な期間です。また、学外との意見交換の場を自ら創出するなど、より広い世界で多様な価値観に触れたことも大きな経験でした。他者の視点を取り入れながら興味を深めるプロセスは、今の仕事における多角的な提案力の源泉になっています。何より研究を通じて「自分は何者で、建築を通して何ができるのか」と徹底的に対峙した時間は、設計者としての確固たる軸を築くための欠かせないプロセスであったと実感しています。

学生生活での思い出を教えてください。

2022年のコロナ禍で行った卒業設計が最も印象に残っています。社会が混迷する中、自ら問いを立て、設計へと昇華させる作業は困難を極めました。しかし、教授との議論や文献研究を通して、悩み考え続けた先に、ふと納得のいく答えが現れた時の感動は今でも鮮明に覚えています。時代に翻弄されながらも、周囲と力を合わせて実直に設計と向き合った経験は、私に「一生語れる作品」を授けてくれたと感じています。あの時、あの場所でしか生まれ得なかったこの一作は、正解のない問いに立ち向かう「建築家」としての現在の仕事においても、私を支える大切な礎になっています。

建築学科を目指す高校生へのメッセージをお願いします。

将来何になりたいか、今は期待と不安の中で悩んでいる時期かと思います。その1つの選択肢として、私は「建築学科」をおすすめします。デザインやモノづくりが好きな人はもちろん、構造の成り立ちやまちの構成、あるいは文献を読み解く研究に惹かれる人まで、「建築」という学問は、さまざまな興味や個性を主役にしてくれます。特に日大理工は、長い歴史に加え、個性豊かな先生方や実践的に試せる環境が揃っており、学内外でアグレッシブに学ぶことや個人の興味を確実にサポートしてくれます。私自身、日々高め合えるこの環境を選んだことは、間違いではなかったと感じています。建築を志す皆さんにとっても、これ以上なく面白い舞台になると思います。