環境を解釈し応える意匠設計

海洋建築工学科/専攻

中村 美月

株式会社日建設計
2022年3月 海洋建築工学専攻修了

現在のお仕事の内容を教えてください。

組織設計事務所の設計部に所属し、意匠設計を担当しています。クライアントから要望を聞き取り、構造や設備、監理などの他部門メンバーと話し合いながら、具体的な設計に落とし込んでいくのが仕事です。歴史や地形など、敷地の条件を丁寧に読み解き、そこにあるべき建築の姿を提案することが求められます。現在は大学などの教育施設のプロジェクトに多く携わっています。先日竣工した担当物件では、自然光や風を取り込む開口部の設計や、地下から湧く井戸水による冷却効果を体感できる共用空間を実現しました。多くの時間を過ごす学生たちにとって心地の良い居場所になるように、真摯に設計に向き合っています。

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現在のお仕事に,学生時代の学びがどのように役立っていますか?

海洋建築工学科では、海や水辺をはじめとしたさまざまな「環境」との応答について学んできました。私が取り組んでいる建築設計の仕事では、たとえ都市の中にあっても、その中に存在する環境をどう解釈し、応えるかが問われます。学部・大学院を通じて学んできた自然環境の知識や手法、そして外部環境とどう向き合うかという姿勢自体が、今の仕事に活かされているように感じています。また、研究室のゼミ活動や大学を通じて参加した設計事務所でのインターン・アルバイト、学外コンペ(設計競技)への積極的な応募等を通じて、提案をかたちにして伝える、総合的な表現力を身につけられたことも、今の仕事に直接的に役立っています。

大学院に進学して良かったことは何ですか?

学部での学びは充実したものでしたが、自分にとってはあっという間で、もっと学びを深めたいという思いから進学を決めました。大学院では、所属していた研究室で研究活動や設計課題に取り組んでいたほか、興味があった他学科(建築学科)の授業を選択して受けていました。専門的な学びを深めることで、結果的に組織設計事務所をはじめとした就職先の選択肢も大きく広がりました。また、研究を通じて論理的に思考し、他者に伝える力を磨けたことも、現在のクライアントや協働者とのコミュニケーションに活きているように思います。時間をかけて専門性と視野の両方を広げられたことが、大学院進学の最大の収穫でした。

学生生活での思い出を教えてください。

最も印象に残っているのは、設計課題やコンペの作品提出、ゼミ活動などで多くの時間を過ごした研究室での日々です。毎日のように研究室に通いながら、仲間と設計について議論したり、モデリングや模型などのスキルを共有したり、昼夜を忘れて切磋琢磨した時間は自分にとっての宝物です。ゼミ合宿やコンペの審査で日本各地を訪れ、建築作品を見学して回ったのもいい思い出です。また、学部時代に受けていた授業の中では、設計演習のほかにも、親水工学や流体力学、海洋実習(実際に船に乗って海上に出ます!)などの「海洋建築工学科ならでは」といった内容も多く、どれも面白かったですね。

海洋建築工学科を目指す高校生へのメッセージをお願いします。

大学入学当初、将来の自分がまさかこのような恵まれた場所で、設計の仕事に携わっているとは夢にも思っていませんでした。大学という場所では、学びのヒントが周囲に無数にあり、自ら行動すれば思わぬチャンスを掴むことができます。特に海洋建築工学科は、他の建築系学科と比べてみても特異な学修環境であり、その特殊性は設計者にとって大きな武器になります。唯一の答えが存在しない建築設計という仕事においては、いかに多様な視点で物事を捉えられるかが重要であり、他の設計者と異なる知識や視野を持っているということは、それ自体に大きな価値があります。ぜひ、海洋建築工学科であなたの興味を追求していってください!!