送電システムの安全性を守る

物理学科/専攻

兵藤 花菜香

三菱電機株式会社
2020年3月 物理学科卒業

現在のお仕事の内容を教えてください。

私は、多端子高電圧直流(HVDC)送電システムに不可欠な直流遮断器の開発を担当しています。多端子HVDC送電システムは、3か所以上のAC/DC変換所を接続した送電システムであり、電力を柔軟かつ効率的に送る仕組みです。直流遮断器は、送電中に事故が発生した際、数十kAの大電流を数ミリ秒以内に安全に遮断するもので、その電気的・機械的設計を行っています。電流遮断時のアーク現象の解明や、高速駆動機構の設計など、電気と機械の知識を融合させた総合的な開発です。欧州のエンジニアと共同で、次世代HVDC送電網の安全性・信頼性向上に貢献していきます。

試験装置組立のため銅板を磨く

現在のお仕事に,学生時代の学びがどのように役立っていますか?

講義で学んだことと実験で学んだことの両方が今の仕事に活きています。現在の業務は、ゼロから新たな製品を創出する開発であり、文献調査による設計検討、試作機の製作、試験方法の立案、実施および評価までを一貫して行います。設計の段階では、機械的および電気的に仕様を満たすかを検討する必要があるため、力学や電磁気学といった、物理学科で学んだことがダイレクトに活きています。また、試作機の製作や試験結果の評価においては、学生実験や研究室活動で培った技能が活かされています。特に試験機材の製作や測定方法の検討を行った経験は、現在の業務遂行において重要な基盤となっています。

学生生活での思い出を教えてください

印象深い活動として、理科教育サークルでの取り組みがあります。付属校の高校生と協働し、フーコーの振り子を製作しました。大きな振り子を作ったものの思うように精度が出ず、どうしたら精度が上がるのか、また、せっかく作った振り子について、どうしたら多くの人に興味を持ってもらえるかを考えました。振り子は単純な構造ながら奥が深く、博物館で有識者から助言を得て、構造設計や計測方法についてメンバーと議論を重ねました。また、PR用ポスターの制作など広範な活動を行い、非常に充実した経験となりました。講義や実験レポート作成で多忙な時期もありましたが、良い気分転換となりました。

物理学科を目指す高校生へのメッセージをお願いします。

物理学科で得られるのは座学による知識にとどまらず、実践的な応用力も含まれます。蓄えた知識をいかに活用するか、目的達成のためにどの知識をどのように用いるべきかを主体的に考える力が養われます。また、物理学科で学ぶ分野は広範であり、業務の中で「聞き覚えがある」「この公式が使えるのでは」と感じる場面にしばしば遭遇します。私の場合、業務範囲が広いため、多様な知識を蓄積できる物理学科を選んで正解だったと実感しています。学びは非常に有意義であり、楽しいものです。大変な時もありますが、友人との交流やサークル活動で気分転換をすることで、楽しい大学生活を送れるでしょう。