日本大学理工学部 日本大学大学院理工学研究科
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2018年06月27日

メディア

小惑星探査機「はやぶさ2」、小惑星Ryugu(リュウグウ)の高度20㎞地点到着!航空宇宙工学科 阿部新助准教授が開発・運用に関わっているレーザー高度計「ライダーLIDAR」が初測距に成功しました。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ2」が本日(6月27日)午前9時35分、地球から約2億8000万キロ離れた目的地の小惑星リュウグウの上空20キロの地点に到着しました。
この後、リュウグウ表面を詳しく観測し、10月頃に着陸を試みる予定となっており、太陽系の成り立ちや生命の起源の解明に大きく前進したと言えます。
このリュウグウとの距離を測るのがレーザー高度計「ライダーLIDAR」。
 (ここからは、その開発・運用に関わっている航空宇宙工学科 阿部新助准教授の解説です。)
このレーザー高度計「ライダーLIDAR」は、国立天文台/JAXA /千葉工業大学/会津大学/日本大学/大阪大学 の協力で開発・運用されており、送信したレーザがターゲットの表面にあたって、返ってくるまでの時間から距離を測る装置です。ターゲットが遠くなると返ってくる光の量はわずかになります。また、信号をいつまでも待ち続けるわけにもいきません。このため、装置が射出するレーザのエネルギーや光を受ける望遠鏡部は測りたい距離に応じて設計されています。

「はやぶさ2」LIDAR の場合は、ターゲットからの距離が25km以下の時に距離を測るように設計されています。それでもターゲットの反射率や地形など、いくつかの要因が絡んでくるため、小惑星リュウグウとの距離が50kmを下回る6月22日から運用のたびにレーザを撃って、返ってくる光の信号が得られないか確認してきました。しかしなかなか信号が確認できません。レーザも望遠鏡視野も細く絞られているので、もしかすると探査機が向いている方向が悪いのかも、などとやきもきする日々を過ごしてきました。

6月26日になってようやく、信号を捉えることに成功しました。測距できた距離は22.4キロメートル。当初の想定より近づかないと測距できなかったのは、リュウグウの反射率が予測よりも小さい事を意味しているのかもしれませんし、そろばん型をしているために探査機から見て斜面ばかりで光がうまく返ってこなかったからかもしれません。今後の詳細解析待ちです。

今回、20キロ地点にまで到着したことに伴って、LIDARの測距精度や受信エネルギーの測定(表面物質の反射率を割り出して、物質分布に迫ります)の精度も上がると期待されます。

これまで、LIDAR初観測のためにサポートして頂いたプロジェクトと開発メーカの皆さまに、心から感謝申し上げます。

小惑星探査機「はやぶさ2」、小惑星Ryugu(リュウグウ)の高度20㎞地点到着!航空宇宙工学科 阿部新助准教授が開発・運用に関わっているレーザー高度計「ライダーLIDAR」が初測距に成功しました。