日本大学理工学部
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2018年08月31日

レポート

鳥人間コンテスト2018 航空研究会この夏の記録

君の眼に映った最後の景色はきっと仲間の顔に違いない・・・。
それはきっと、真剣な眼差しで、
白い発泡スチロールにまみれた、
少しの妥協も許さない、
厳しく、熱く、そして黙ってても通じ合える、
航空研究会特有ともいえる固い絆で結ばれた仲間の顔。

そう。琵琶湖の上で見た君の最後の景色はきっと仲間の顔なんだろう。

7月28日(土)朝
薄曇り。微風。時々小雨。
かと思うと太陽が顔を出し日差しが照り付け強風。
激しく変わる天候。
琵琶湖の湖面は波立っている。

今年の琵琶湖は台風直撃が予想され、2日目の競技は中止。人力プロペラ機部門は1日目の午後の開催となった。

メーヴェ35はそれでも悠然としたその姿で湖畔にその翼を休めている。
チームはキビキビと動き、いつでも対応可能なように準備をすすめている。
鯨岡君も牧野君も現場対応に走り回っている。
過去8回の優勝を誇る名門と言われている航空研究会は、メーヴェの長く強く、でも見た目が繊細な翼の美しさと、それを作り上げる学生たちの骨太さと実直さでいつも会場を魅了する人気チームだ。
この状況でもメンバー達は、今やるべきことを淡々とこなし、まったく慌てる様子は見えない。
外野のこちらよりもずっとずっと落ち着いている。

今年のチームは、ルールが変わったことにより、機体を改良するということに挑んでいる。
昨年、往復してプラットホームに戻ってくるという素晴らしい記録を達成した優勝チームを考え、まさに新時代を迎えた「鳥人間コンテスト」に対応するため、伝統を守りつつも新たなチャレンジを試みてきた。機体トラブルも多くうまくいかないことも多かった。テストフライトも天候に恵まれず、苦労が絶えなかったが、つまずく度に何がいけないかを仲間で考え、機体を作り上げ調整してきた。

その昔、木村秀政先生はこういう言葉を残している。
「努力した者だけに、夢を見る権利がある」
まさに、努力してきた彼らは、幾多の困難にも負けず、憧れの琵琶湖の地に「今」立てているのだ。

彼らの先に見える今年のプラットホームは、激しい天候の変化でその佇まいが誰も寄せ付けないオーラを放ったかと思えば、すごく優し気に輝き、参加チーム全体を奮い立たせている。

パイロットの長谷川君は緊張の面持ちだ。
今年から3角形に飛ぶルールになったため旋回が多くなる。
のしかかるプレッシャー。
そんな長谷川君にメーヴェ34のパイロット塩見君、33の山崎君、32の設計担当の上田君が声をかける。

「あきらめないことだよ。1キロごとに先輩がいると思えばいいから。あの先輩超えてやるわ、みたいな。あとは根性論だ。」

「気負わなくていい。エンジニア側はプラットホームにのせたらもう8割方は満足してるんだから。
おまえは楽しめばいいんだ。」

気が付けばたくさんのOBが集まってきている。
大家族みたいだ。

午前中の滑空機部門が終わり、いよいよ人力プロペラ機部門が始まった。

各大学、風に苦戦している。

メーヴェ35がプラットホームにあがる。
天気はすごくいい。
ただ風は不安定だ。
湖上の風は大丈夫だろうか。

ここまできたら仲間の想いを裏切るわけにはいかない。
自分自身を信じて飛ぶ。

長谷川君がコックピットに入る。

「やるぞ!!」

大きな声が飛ぶ。

「押っせー押せ押せ押せ 押せ押せメーヴェ!!」
応援ブースでは必死の形相で応援が始まる。

「ペラまわします!」
「右翼OK?」
「左翼OK?」
「テールOK?」
「行きます!!」
「3!」
「2!」
「1!」
「GO!!!!!!」

よし!きれいに滑り出した。
風にのる。
日差しをうけ、メーヴェ35の翼がキラキラと光り輝く。
美しい。
すごく力強く美しい。
長谷川君も順調だ。

しかしその直後だった。
突然左翼が折れる。
そこから機体が琵琶湖に沈むのは
あっという間だった・・・。

会場中が静まり返る。
予期せぬメーヴェの不運に誰も声がでない。
放送ブースも放心状態だ。

長谷川君は大丈夫か。

やがてボートにあがってきた長谷川君は頭を抱えて悔しさをにじませる。
「風強いのはわかってたんですけど
もっと飛べたかなって・・・」

体を震わせ涙する姿が会場スクリーンに映し出される。
誰も声がでない。

しばらくして司会者が声をかける。
「僕が・・・僕が・・・」
声にならない。
頭を抱え込み泣き崩れる長谷川君の姿に
会場中がすすり泣きに変わった。

記録は145.97m。

その後現地では、
なぜこのような結果になったのでしょうかという問いに、
応援ブースから
「湖上の風は想像以上に強かったと思う。でもこれは何か原因があるはず。それをきちんと解明して次につなげていかなければいけない。長谷川はよく頑張ったと思う。ありがとう。」
と、この風に立ち向かってメーヴェを飛ばした長谷川君への感謝の気持ちが語られました。

風のせいとは誰ひとり口にせず、原因を究明しますと泣き崩れながらも語る彼らの背中には、
空にあこがれ、飛ぶことを片時も忘れなかった木村秀政先生の想いを継いで背中に書かれた「あすも飛ぶ」の文字。

その想いはテレビ画面からも十分に伝わったのではないでしょうか。
あすも飛ぶ。
メーヴェ36チームはもう動き出しています。

今年も大勢の皆様に応援そしてご指導をいただき、鳥人間コンテストに出場することができました。
心から感謝申し上げます。
そして、鳥人間コンテスト開催に向けて尽力された皆様、ありがとうございました。
これからも日本大学理工学部航空研究会の応援を、どうぞよろしくお願いいたします。
最後になりましたが、滑空機部門で見事優勝されました生産工学部の津田沼航空研究会のチームの皆さん、2連覇本当におめでとうございました。

メーヴェ35
プロペラ班:西村/フレーム班:酒井、川口、中島、髙橋、内田/主翼桁班:鯨岡(兼代表)、勝山/主翼リブ班:手島、牧野、大津、諏訪(兼尾翼班)/尾翼班:諏訪/パイロット:長谷川

鳥人間コンテスト2018 航空研究会この夏の記録

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