日本大学理工学部 日本大学大学院理工学研究科
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2022年09月05日

レポート

【参加報告】鳥人間コンテスト2022 航空研究会この夏の記録

【参加報告】鳥人間コンテスト2022 航空研究会この夏の記録

3年ぶりのプラットホームは朝陽に照らされ黄金色に輝いている。

僕らはあきらめなかった。
1年生の夏からチームの代表をつとめる松田瑛樹君(航空宇宙工学科4年)は言う。
新型コロナウイルスがもたらした大学生活の変化は想像以上に状況を厳しくし、やめていく部員もいた。
気持ちに負けそうになったこともあったし、逃げたくもなった。
あきらめるのは簡単だけど、そうしなかった理由の一つに仲間の存在は大きい。
大学構内にも入れず、会えない時間もずっと支え合ってきた。
卒業した先輩たちも、心配してずっと変わらず支え続けてくれていた。
顧問の菊池先生も、いつも近くで状況を心配しながら応援し続けてくれている。

ここで終わらせられない理由もある。
機体を製作したのに飛べずに卒業していったメーヴェ37の先輩たちのためにも、何が何でも飛ばなければならない。
今年は、メーヴェ38チームがメーヴェ37(機体)で飛ぶ。
後輩たちにも琵琶湖の空を飛んでいるところをみせてあげたい。

今は、はっきりと思う。
挑戦はしてみることが大事だし、それをやり続けるということがもっと大事だと。
「ユメ」を言葉にし続ける。あきらめないこと。やりつづけること。
皆の口から、つらい経験で得た想いは同じだ。

琵琶湖の天気は変化が激しい。
前日夕方から強風が吹き荒れた琵琶湖は波打ち、
夏の太陽に照らされ時間とともにその輝きを増してくる。

順番が近づく。
昨夜の強風が思い返されるほどに風が吹き始める。
波立つ琵琶湖。
プラットホームの上は想像以上の風で翼をおさえるのもやっとだ。
風で翼をもってかれそうになる。

ゲートオープンの声がかかる。
パイロット内藤君の声が響く。

 「ペラまわします!」
 「右翼OK?」
 「左翼OK?」
 「テールOK?」
 「行きます!!」
 「3!」
 「2!」
 「1!」
 「GO!!!!!!」

メーヴェはまっすぐに滑り出した。
歓声があがる。
約33mある美しい翼が太陽をうけてきらめく。

風がますます強くなってくる。
機体が琵琶湖の上でピタッと止まる。
必死にペダルを漕いでいるのにまったく前に進まない。
踏ん張って踏ん張って漕ぎ続けるけれども、バランスが難しい。
右に行き左に行きそれでも必死に前に進もうという力強いメーヴェの姿がある。

会場全体が息をのむ。
「陸に近くなると危ない」
とアナウンスが流れ上空からのカメラに切り替えられ心配そうに見守る。
この瞬間にも内藤君はたたかっている。
聞こえないが、ボートの上の松田君も必死に叫んで勇気づけているだろう。

陸の方向に流されていくメーヴェ。
会場がざわめく。
先輩たち仲間たちがつくってくれたメーヴェはそう簡単には風に負けはしない。

翼が風で傾く。
それでもなんとか高度を保っている。
右へ。左へ。
やがて、懸命に風と戦った機体は湖面に静かに沈んでいった。

記録は、1834.92m

悔し涙で抱き合う2人に仲間達が駆け寄る。
記録としてはのびなかったが、あの風の中でよく前に飛ばしていった内藤君にあたたかい拍手がおくられた。
メーヴェ38はしっかりと伝統をつないでくれた。

「あすも飛ぶ」
その挑戦に限界はないという木村秀政先生の教えは、こうやって引き継がれていく。
その情熱はまったく変わらない。

そういえば、メーヴェが飛んでいる時に一羽のカモメのような鳥が一瞬横切った。
大竹先生だったのだろうか。
「よくやった。」と天国で安心していることだろう。

今年も応援してくださいました皆さま、誠にありがとうございました。
鳥人間コンテスト大会運営の皆さま、一緒に高めあってきた他のチームの皆さまも、本当にありがとうございました。
心から感謝申し上げます。
日本大学理工学部航空研究会は来年の挑戦に向け、新しいチーム、メーヴェ39・40が活動をはじめました。
どうぞこれからも応援をよろしくお願いいたします。

<4年生から一言>
 我々はM38として活動を開始した頃から新型コロナウイルスとの戦いでした。どうしたら琵琶湖の空を飛ぶことができるか。そんな話を顧問の先生としていたときに先生が急逝され、部内は不安で一色に染まり、誰しもがもう二度と琵琶湖の空へ帰ることはできないと覚悟しました。そんな中、学科の先生・OB、OGの先輩方など多くの皆さまのご助力のおかげで琵琶湖の空へ帰ることができました。
 生前大竹先生と話していた、琵琶湖で新記録を出して優勝したいという夢を叶えることはできませんでした。しかし、この思いを琵琶湖で後輩たちへ引き継ぐことができ、後輩たちは来年に向け今から活動を開始しています。
 これからも人が空を飛ぶという夢を叶え、日本大学理工学部だからこそできる大記録を目指し日々活動して参りますので応援の程よろしくお願いいたします!!

■M37
柴田・谷岡・橘・常廣・武士(航空宇宙工学科)
宇賀神・原田・望月(機械工学科)
佐々木(電子工学科)
加藤(物理学科)

■M38
後藤・内藤・西園・松田・柳下(航空宇宙工学科4年)
梶山(電子工学科4年)
林(まちづくり工学科4年)

【参加報告】鳥人間コンテスト2022 航空研究会この夏の記録

【参加報告】鳥人間コンテスト2022 航空研究会この夏の記録