日本大学理工学部 日本大学大学院理工学研究科
  1. HOME
  2. ニュース
  3. 記事詳細

ニュース

2022年12月14日

レポート

令和4年度日本大学秋田県桜工会の総会・懇親会が秋田市にて開催され、工学部機械工学科OBでラグビー元日本代表の大野均さんにご講演いただきました。

令和4年度日本大学秋田県桜工会の総会・懇親会が秋田市にて開催され、工学部機械工学科OBでラグビー元日本代表の大野均さんにご講演いただきました。

 2022年11月18日(金)、令和4年度日本大学秋田県桜工会の総会・懇親会が秋田市のホテルメトロポリタン秋田にて開催され、工学部機械工学科OBでラグビー元日本代表の大野均さんに「弱小チームからワールドカップに勝つまで」と題してご講演いただきました。

 大野さんは、高校まではラグビーとは縁が無く、大学入学時に工学部のラグビー部に勧誘されたことをきっかけにラグビーを始めました。ラグビー競技の精神(ラグビー憲章:品位・情熱・結束・規律・尊重)に惚れ込み、大学時代は文武両道でラグビーに熱中したそうです。
 しかし、大学から始めたこともあり、卒業時の大野さんの知名度はいまひとつの状況で、就職も思うようには進まなかった中、東芝府中ラグビー部の薫田監督から声をかけていただき、東芝のラグビーチームに入ることになりました。薫田監督は当時、大野さんのことを「ラグビーは素人のレベルだが、190センチを超える長身ながらバックス(BK)級のスピードを持っているちょっとおもしろい選手」と話していたそうです。

 愚直とひたむきさを武器に、東芝府中のラグビーチームで研鑽を積む中で、まわりの長くラグビーを続けているすごい選手たちの中で、どうやって自分がこのチームに貢献できるかを考えた時、大野さんの答えはとてもシンプルだったと言います。それは、大野さんの活躍したロック(LO)というポジションにありました。
 ロックは、ラインアウトの際にジャンパーとしてボールをキャッチする役割を担うことが多く、空中戦のスペシャリストです。さらに、スクラムでは前に位置するプロップを支えて力を伝え、モールなどの際はプロップとともに相手を押し込む役割も担います。突進で、相手守備を切り崩すことも求められます。
 パスやキックではもっと上手な選手がいるのであれば、身長や体格をいかせるところでチームに尽くす。そのための努力は惜しまない。
それはまさに
  One for all ,All for one
という言葉を思い起こさせます。

 肉体的な消耗が激しいLOというポジションで41歳まで常に体を張り続けてこれた理由を、大野さんは、
「ラグビーを始めた日大工学部であったり、東芝ブレイブルーパス東京、あと日本代表、サンウルブズもですけど、本当に魅力的なチームで、このチームで勝ちたいと思わせてくれる人たちが集まった集団だったので、このチームのために自分ができることを全部投げ出そうという思いでずっとやってきました。」
とし、さらに、
「声援に勇気づけられた。」
「応援していただいたことに対して感謝しかありません。」
と、自分の背中を後押ししてくれたファンへの思いを何度となく述べられました。

 このような大野さんの人柄やラグビーに対するひたむきな姿勢は歴代のヘッドコーチに高く評価され、ラグビーワールドカップに3大会連続で代表として選出されました。

 例えボールを持つ回数は1試合に1、2回でも、大野さんは密集から立ち上がると再び次の密集戦へと走り、腰を落として頭を密集へと突っ込む。この頭を突っ込ませることが出来るか否かが、プレーヤーとしての大きな分水嶺となる。わずか数10センチの高低差で頭を入れられるか、入れずに体だけを当てることになるかが、その密集を押し勝ち、相手に有効なプレッシャーをかけることが出来るかに直結するから、この繰り返しを80分黙々と続けるためには、鋼のような体と同時に強靭な精神力が不可欠です。
 ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代代表ヘッドコーチ(HC)から揺るぎない信頼を勝ち取ってきたのも、他の選手は及ばない心身の資質があったからこそ。ジェイミー・ジョセフHCも、大野さんが怪我で代表合宿を離脱した2017年までは代表復帰を模索していたそうです。

 講演では、この間に日本代表チームがどのように過酷な練習を行ってきたのか、どうやってそれに打ち勝ってきたのか、歴代のヘッドコーチはどのように日本チームに力をつけてきたのか、動画を交えてお話いただきました。
 前回のワールドカップでは海外から帰化したリーチ・マイケルさんなども含め、試合前に全員でしっかり声を出して「君が代」を斉唱することを指導されたこと、これによって大きくチームの団結力が高まることなど、試合からは見いだせない裏話も披露いただき、なぜあのような快進撃や奇跡の逆転劇が可能となったのかが腑に落ちた気がしました。
 最後に披露された、日頃の練習がどれだけ厳しいものであったかの動画や、奇跡の逆転劇とよばれた「ワールドカップの南アフリカ代表戦」の後の世界各国の反応の動画は、大きな感動の波が押し寄せ、元気と勇気をもらえる内容でした。

 日本大学理工系学部からこのような素晴らしい校友が輩出されたことを誇りに思う、魂の熱くなる感動の1日となりました。

※写真はご許可をいただき掲載しております。

令和4年度日本大学秋田県桜工会の総会・懇親会が秋田市にて開催され、工学部機械工学科OBでラグビー元日本代表の大野均さんにご講演いただきました。