新素材を設計し物理特性をシミュレーションする
電子工学科
新素材を作製し新規な物理の特性(物性)を発現させるとき、あらかじめ計算によって、発現する物性を予測することが大きなメリットとなる場合がある。また、実際に作製した物質と計算した物質の物性が異なる場合もある。その場合、計算のパラメーターを変え、その原因を探る事で、大きく研究が進展することがある。計算(第一原理計算)の一つの例を示す。①:電子雲の空間的な広がりを、正しいであろうと予想できる関数(波動関数)で表現する。②:波動関数から電荷の分布を計算する。③:電荷分布から電子が持つエネルギーを計算する。④:特殊な関数を用いてある任意の点において電子が感じる位置エネルギーを計算する。⑤⑥:ある原子の周りにある電子が感じている全位置エネルギーを計算する。⑦:電子雲が満たす方程式を解き、注目している電子のエネルギーを計算する。⑧:波動関数とエネルギーが①で予想した波動関数と同じであるか確かめる。このように、①~⑧を行い、最終的に⑧の結果と①の結果が同じになるまで計算を繰り返す。これを自己無撞着に解く、と言う。
計算結果の一例。CaFeO3酸化物の原子の周りにはどのエネルギーを持った電子がどのように空間的に分布しているかが分かる。この電子分布から様々な物性を予測することができ、新素材開発の大きな助けとなる