担当講師:遠山 岳史
化粧品とは有機材料であるのか,無機材料であるのかと聞かれたら,化学を少しでも勉強したことのある皆さんのほとんどは有機材料であると答えるでしょう。
確かに,化粧品は私たちの肌に直接塗るものであるので有機材料であると考えるのではないでしょうか。しかし,実際には有機物は含まれていますが,きれいに見せるための主成分は無機材料です。
では,どうして化粧品には無機材料が必要なのでしょうか。化粧品には,近年,単純に色をつけてきれいに見せるだけでなく,紫外線防止,透明感をだす,きらめく,長時間持続させる,小顔にみせる,などの機能を化粧品に付与することが求められています。
たとえば,唇や爪などをきらめかせるパール顔料は真珠(パール)の輝きを模倣した材料です(写真1)。このパール顔料を切断した走査型電子顕微鏡写真が写真2ですが,肌に塗布しやすいように粒子は板状の形をしています。また,粒子内部を見てみると雲母の周りに酸化チタンがコーティングされた積層構造をしています。屈折率の違う無機材料を光が通過することで回折現象が起こり,見る角度によってさまざまな色となります。
このように,化粧品の機能化は粉体の大きさ,形状,さらにはその分布などの形態制御を行うことで様々な用途へと変身させています。
そこで,本講義では化粧品の機能化に及ぼす無機材料の役割を化学的にわかりやすく解説いたします。

