物理学科講義一覧
”温度をはかる”仕組みを学ぼう~熱電対の作製を例に~
担当講師:出村 郷志 / 温度計は,身近な様々な場所で活躍している。体温を測る,お風呂の温度を測る,オーブンの温度を測る等である。その一方で,温度をどうやって測定しているのか,という部分は表立っていないことが多い。 そこでこの授業では,温度を測る様々な手法を紹介し,その方法を物理的な観点,特に熱力学や物性物理学の観点から学ぶ。その際,二つの異なる金属を用いて温度を測る,熱電対を用いた実演を交えなが…
重力波で観る宇宙
担当講師:平松 尚志 / アインシュタインによって提案された一般相対性理論は,重い物体の周囲で時空(時間+空間)が歪むことを予言しています。そして,その後のさまざまな天体観測によって,その予言は見事に的中することが確かめられました。この時空の歪みは,水面の波紋のように,空間の中を波として伝わっていきます。これを「重力波」といいます。 重力波は,時空の歪みが真空中を伝わる現象であり,「時空のさざなみ…
“たくさん”が創る“ひとつ”の世界――相転移現象にみる集団性と秩序の誕生――
担当講師:河村 泰良 / 皆さんもご存じの通り,水は冷やすとある温度で突然氷になり,温めると水蒸気となって蒸発します。日常の中では当たり前のことのように思えるかもしれませんが,温度を変えるだけで,たくさんの水分子の集まりが,まるで一つの意思をもったかのように性質をガラッと変える――改めて考えてみるととても不思議な現象です。実はこのような現象は,水に限らず,さまざまな物質で見られます。例えば,金属を…
実験室で宇宙を観(み)よう -実験室天文学入門-
担当講師:浅井 朋彦 / 宇宙にある物質のうち観測可能なものの大部分は「プラズマ」状態です。原子が電子とイオンに電離したプラズマ中では様々な現象がおこりますが,実際に宇宙空間で観測することは困難です。そこで,天体現象を実験室で発生させそれを観測する「実験室天文学」が注目されています。この講座では,宇宙空間で生じるプラズマ現象を再現する実験を中心に,「実験室天文学」の視点から自然科学の研究手法につい…
プラズマ実験を体験しよう!-プラズマの性質と応用-
担当講師:小林 大地 / 物質を構成する原子が十分なエネルギーを得ると,原子から電子が離れ,イオンと電子が自由に運動する状態となります。この状態をプラズマといい,固体・液体・気体に続く,物質の第四状態とも呼ばれます。宇宙空間に存在し,観測可能な物質のほとんどがこの状態にあり,私たちの身近にも,太陽や稲妻,炎,蛍光灯などプラズマが存在します。プラズマの研究は,原子核同士が融合する反応を利用した新たな…
ブラックホール熱力学と情報パラドクス
担当講師:三輪 光嗣 / 重力は私たちが日常的に感じる身近な力です。ところが,実はミクロの世界における重力の仕組みはきちんと理解されていません。このことは現代物理学における最大の課題の一つであると言えます。こうした課題に対してヒントを与えると期待されているのがブラックホールに関わる様々な理論的考察です。ブラックホールとは,光ですら抜け出すことのできない事象の地平面を持ち,外の人は中の様子を見ること…
自然界の対称性と素粒子
担当講師:三輪 光嗣 / 物理の実験は東京で行っても大阪で行ってもおよそ同じ結果が得られます。このことは重要な意味を持っています。というのは,もし実験結果が場所によって全く違ったものになるならば,授業で使う教科書も場所によって全く違った内容になっていなければなりません・・・というのは冗談ですが,このように「空間方向に移動しても物事が変わらない」という性質は,実は「運動量保存の法則」という物理法則と…
相対性理論を応用した未来を照らす特殊な光の創成
担当講師:住友 洋介 / 近年,ブラックホール連星の衝突合体から放出される重力波や,光を用いたブラックホールの観測が行えるようになってきています。ブラックホールや重力波の放出は相対性理論によりその存在が示唆されており,間接的には様々な方法で検証が行われてきましたが,科学技術の発展により,ついに直接的な観測が行える時代になりました。相対性理論は,身近なものである携帯電話やカーナビで使われているGPS…
脳の中を物理学で見る
担当講師:小松﨑 良将 / 記憶や学習をはじめとした脳の働きが,科学の言葉で語られるようになってきました。人は外からの情報を受け取ったり,学んだりするのに,その脳を利用しています。こうした脳の活動に関係した物質や現象が明らかにされつつあります。脳は神経細胞(ニューロン)により構成され,神経細胞同士が神経線維を伸ばして情報のやり取りを行っています。その神経回路は非常に複雑で,例えばヒトでは約一千億個…
歴史から考える教科書に書かれた物理学の構築
担当講師:雨宮 高久 / アイザック・ニュートンという物理学者が,1687年に『自然哲学の数学的諸原理(プリンキピア)』を著し,現在の教科書で勉強する力学の基礎体系を築いたことは皆さんもご存じかもしれません。しかし,ニュートンという天才ひとりによって力学の体系化が完成したわけではありません。例えば,ma=Fという(ニュートンの)運動方程式は,運動の第2法則の帰結として導出されるものですが,この方程…
電子が生み出す不思議な現象
担当講師:渡辺 忠孝 / 金属などの固体物質は天文学的な数の原子の配列とその中を泳ぐ伝導電子によって構成されています。ミクロな世界の住人である電子は,集団運動によって時として我々の眼に見える形で非常に不思議な現象を引起すことがあります。この授業ではそのような現象として熱電変換と超伝導を紹介し,物質科学の面白さに触れてもらいます。熱電変換現象は電気と熱の相互作用を利用したエネルギー変換現象です。固体…
ギャンブラーの破産定理と宝くじ
担当講師:山中 雅則 / 賭け事やギャンブルは絶対に勝てないことを確率を用いて数学的に保障する定理として破産定理が知られています。これはギャンブルではどのくらいの速さで破産するのかを保障する定理です。 定理の証明で使われるのは,数列の三項間漸化式と条件付き確率の恒等式のみであり,全て高校数学の範囲です。これらを元にギャンブルがいかに危険なものであるのかについて説明を行い,ネットゲームでよく見られる…
計算機で薬をつくる
担当講師:山中 雅則 / 医薬品の開発(創薬)には長い開発期間と多額の開発費が必要である. 例えば, 1つの医薬品が市場に出るためには約15年の 年月と, 2000 億円程度の研究開発費が必要であるとされる. 創薬のステップは大きく分けて,対象疾病の選択,薬候補の探索・改良,臨床試験である。このうち,薬候補の探索・改良について計算機上で行うことで大幅な期間短縮と研究費の削減が検討されている。このよ…
原子物理学(放射能と放射線計測)
担当講師:山中 雅則 / 放射能や放射線は人間の5感では感じ取ることができません。人間は放射線を感じる臓器を持っていないからです。放射線にはアルファ線・ベータ線・ガンマ線があります。アルファ線の正体はヘリウム原子核,ベータ線は高エネルギー電子,ガンマ線は電磁波の一種です。一方,目は電磁波を感じ取ることができますが,目の感じ取ることのできる電磁波の周波数領域は可視光であり,ガンマ線は紫外線よりもずっ…
音楽の数学(バイオリンの純正率とピアノの平均律)
担当講師:山中 雅則 / 音楽には基本的で重要な数学がいたるところに隠されています。それは大学で習う複雑で高度なものではありません。すべて高校数学の基本事項です。さて,皆さんはどのような数学が隠されているか分かりますか?三角関数,対数関数,指数関数,有理数,無理数,素数,公約数と公倍数,素因数分解,有理数と無理数の整合,多項式と整数方程式・・・などが音波,音の大きさと聞こえ方,平均律,純正律,音階…
恒星の進化と超新星
担当講師:藤井 紫麻見 / 恒星はずっと変わらないように見えるが,実際は誕生から進化,終末へと大きく変化していく。その時間スケールは私たちの一生に比べとても長いため,恒星の大きな変化の様子を観測する機会はほとんどない。私たちは非常に数多くの恒星を観測して,その性質を調べ,比較し,進化の順に並べることによって恒星の一生を解明してきた。恒星は原始星として誕生し,主系列星,赤色巨星と進化しその最期を迎え…
ブラックホールを見つけ出す -天体観測とビッグデータ-
担当講師:根來 均 / ブラックホールは,もっともよく耳にする天体の一つですが,ブラックホール自体は光を出さないために観測できず,その存在自体を含め,まだまだ謎が多い天体です。その存在を示した相対性理論からは,ブラックホールのすぐ近くでは空間がゆがみ,時間の進み方も遅くなって観測されると予想されています。では実際には,ブラックホールはどのようにして見つけ出され,どのように観測されるのでしょうか?現…
相対性理論入門 -時間と空間の不思議な関係-
担当講師:二瓶 武史 / アインシュタインの相対性理論によれば,動く時計の進み方は遅くなります。また,重力場が強い所にある時計の進み方は,弱い所に比べて遅くなります。特に重力場による時間の変化は,スカイツリーの展望台に置かれた時計を用いて,2020年に実験的に確かめられました。この講義では,このような時間の進み方のずれが何故起きるのかについて学習します。相対性理論で明らかにされたように,実は時間と…
素粒子 -その色と香り-
担当講師:二瓶 武史 / 物質を構成している最も基本的な粒子を素粒子と呼びます。現在までに発見されている素粒子は「クォーク」と「レプトン」の2種類に分類されており,それらの物質は,「ゲージ粒子」と呼ばれる粒子を交換することによって互いに力を及ぼし合うことができます。クォークとレプトンはともに6種類ずつあり,これは6つの「香り」に例えられています。また,クォークには「色」と呼ばれる自由度がありますが…
半導体が支える私たちの生活(IT,省エネ,環境)
担当講師:高瀬 浩一 / 世の中の物質を電気が流れるか流れないかで分類すると,金属,半導体,絶縁体の3種類に大別できます。この講義では,特に,半導体のすばらしい機能性がどのように私たちの生活を支えているかについてお話します。さて,その半導体の機能ですが,これには,整流,増幅,発光などがあります。整流・増幅作用は,主に,電子機器類に組み込まれている半導体メモリやCPU に用いられ,ITを支えています…
超新星で探る宇宙の膨張速度
担当講師:岩本 弘一 / 宇宙は約137億年前に起きたビッグバン(大爆発)以来今日まで膨張を続けてきたと考えられています。その膨張速度を表すハッブル定数Hoを正確に決定することは,宇宙の年齢を知ることに対応し,現代天文学の最重要課題の一つです。宇宙の膨張速度を求めるには,遠い天体までの距離とその天体が遠ざかる速度を知ることが必要です。太陽のような恒星が進化の末に到達する白色矮星(はくしょくわいせい…