#科学の基礎理論を知りたい
シミュレーションでみる量子カオスの世界
担当講師:佐甲 徳栄 / 「ブラジルの蝶のはばたきが,テキサスで竜巻を引き起こすか」――。そんな比喩で語られる「初期値鋭敏性」は,カオスと呼ばれる現象の大きな特徴です。この予測不可能な複雑さは,化学反応や二重振り子,気象など,私たちの身近な物理現象の中に広く存在しています。 では,原子や分子が躍動する「ミクロの世界」にも,カオスは存在するのでしょうか。数学的には,カオスが生じるには方程式が「非線形…
大型アンテナの世界へようこそ!
担当講師:瀧川 道生 / 宇宙と地球をつなぐ架け橋,「大型アンテナ」の世界に足を踏み入れてみませんか?私たちの日常生活に欠かせない通信技術や,壮大な宇宙研究を支える影の立役者。それの一つが大型アンテナです。通信技術では,宇宙探査機や人工衛星との通信を可能にします。たとえば,深宇宙探査では地球から何十億キロメートルも離れた場所にある探査機との通信に使われます。その正確なデータ受信能力が,ミッション成…
電波ってなに? 電波を見る・測る
担当講師:布施 匡章 / 私たちの便利な生活を支えている電波.携帯電話(スマホ)や電化製品など様々なものに使われ,今や生活に欠かすことのできない大切な電波.電子レンジも電波.当然携帯電話(スマホ)も.とりわけ携帯電話は格別で,様々な種類・方式の違う電波が使用されています.なぜそんなにたくさんの種類・方式の違うものが使われているのでしょう? 本講座では,「電波ってなに?」,「電波って見える?」など簡…
パソコンの仕組み 解き明かします(実演・体験)
担当講師:電子工学科教員 / パソコンはどうやって動いているのでしょう?どんなパーツがどんな役割をしているのでしょう? 全くわからない人,詳しく知っている人,自分でパソコンを組み上げたことがある人,いろんな人がいるでしょう。 でも,各パーツをさらに素子まで分解したことがある人はいるでしょうか?この出張講義では,ハードディスクなら針やディスクがバラバラになるまで,ディスプレイなら液晶やフィルタがバラ…
機械学習技術と航空機設計
担当講師:丸山 大悟 / 1903年にライト兄弟が初飛行を成し遂げた後,人類は数十年で音より速い航空機の開発や,宇宙へ進出するロケットを開発しました。グローバル化と呼ばれる現代では,今や航空機は,我々にとってなくてはならない存在です。人類は数学や物理学といった,「世の中の仕組み」というものを解明し,それを活用することで様々な科学技術を生み出してきました。航空機も例外でなく,浮く力を得るために,翼の…
情報0,1,・・・,∞
担当講師:香取 照臣 / 暮らしの中でもパソコンは当たり前の存在になり,家電製品と大して変わらなくなりました。それだけに,ただパソコンを使うだけでは情報工学の勉強ではありませんよね。 このミニ講義では情報工学について,身近な例から大学で勉強できること,研究の対象になることまでをわかりやすく紹介していきます。情報の世界では,「1から」ではなく,「0から」始まるのですが,この講義を聴いていただくことで…
流れの数値シミュレーション
担当講師:小紫 誠子 / 流体というのは,ごく簡単に言えば,水や空気のように流れるもののことです。 そしてその流体の種々のふるまいを,流体現象と呼んでいます。空気などのように,流体は私たちの身近に存在し,普段の生活のあちこちで流体現象が起こっています。飛行機が空を飛べるのも,風車が風を受けて回るのも,流体現象を上手に利用した例であり,鳴門の渦潮や台風などの気象現象も,流体現象の一つです。また一方で…
学習理論と解析関数論
担当講師:青柳 美輝 / 情報科学の分野では,計測して得られた多量のデータから,そのデータを発している情報源の確率分布(真の分布)を推測することを学習といい,この学習は手書き文字認識,画像認識,音声認識,遺伝子解析などに利用されます。例えば,手書き文字認識の場合,手書き文字は,ノイズの含まれたデータなので,確率的に考える必要があります。いろいろなデータ(手書き文字の画像)を与えて,機械に学習させま…
代数学と幾何学の融合による多角形の諸性質について
担当講師:鷲尾 夕紀子 / 代数学と幾何学を融合した範疇の数学を用いた多角形の諸性質の解析および紹介を行う. モーレイの定理,ナポレオンの定理などに関して,数学ソフトウェアを用いて説明する.
才能を伸ばす学び方,教え方
担当講師:北村 勝朗 / 人が何かを学び上達していく上で,指導者の影響はとても大きいと考えられています。実際,様々な領域で人を育て大きな成果に結びつけてきた人々は名コーチと呼ばれ,その指導力・指導実践が高く評価されています。それは単に知識や技術の教え方が上手ということだけではなく,学ぶ人々がやる気を高め,集中し,チームとして協力し合いながら,質の高い学びに自ら取り組めるような「学びのしかけづくり」…
レーザーで実現する極低温の世界-レーザー冷却の最先端-
担当講師:桑本 剛 / レーザーで物が冷やせるか?直感的にはそんなことはできないだろうと思われるでしょう。確かにレーザー冷蔵庫などといったものは聞いたことがありませんね。逆にレーザーをあてると物の温度が上がると考える人が多いのではないでしょうか。実際レーザーは物を極めて高温にする用途に使用されており,金属の切断や加工,医療現場でのレーザーメスといったものに活かされています。しかしながら,巧みにレー…
量子で実現する究極的な情報技術
担当講師:行方 直人 / 身の回りの物質,光(電磁波)などをミクロな領域まで分解していくと,それらの振る舞いは量子力学によって記述されます。量子力学が誕生してから100年ほど経ち,今や量子力学のコンセプトは情報社会へ実装されようとしています。その例として,盗聴を完全に無意味化する「量子暗号」や一部の困難な問題が高速に計算できる「量子コンピューター」が挙げられます。どちらも量子力学の原理を用いなけれ…
量子論と識別不可能な同種粒子
担当講師:大谷 聡 / 身の回りの物質を分割していくと,究極的には分子や原子,そしてそれらを構成している素粒子のようなミクロな粒子に辿り着きます.そのようなミクロな粒子たちの運動を記述するのが量子論(量子力学)と呼ばれる物理学の理論です.この量子論によると,同じ種類の粒子は全くの無個性で,原理的に区別をすることができません.この「同種粒子の識別不可能性」は非常に深い意味を持ち,例えば元素の周期表は…
「光源」としての電子加速器
担当講師:早川 恭史 / 荷電粒子を電磁場を用いて人工的に加速する装置を「(粒子)加速器」と呼び,「電子」は加速される荷電粒子の代表的なものの一つである。「電子」は最も軽い荷電粒子であり,加速を受けて容易に光速に近い速さを持つようになる。相対性理論に従い,光速を超えることはできないが,99.9%といった非常に近いところまで到達することができる。このような光とほぼ同じ速さの電子の軌道が磁石の磁場によ…
光の本質を探る
担当講師:井上 修一郎 / 私たちの日常生活に欠くことのできない光は,太陽や蛍などの自然界に存在する発光体をはじめとして,電球や蛍光灯のような照明器具,半導体レーザーや発行ダイオードのような家庭電化製品の構成部品など,様々なものから発せられます。通常,光は干渉や回折といった波動的性質を示すものとして認知されていますが,光の構成単位は「光子」とよばれ,光源に特有のエネルギーを持つ粒子です。光の粒子と…
素因数分解と暗号理論
担当講師:長峰 孝典 / 「数学って何の役に立つの」と考えたことはありませんか?教科書の問題を解くために公式を覚えて,計算して,たまに間違って…の繰り返しだと確かに数学の良さを見つけにくいかもしれません。しかしながら,数学は皆さんの生活の様々な場面で活躍しています。例えば,インターネット上で買い物をするとき,クレジットカードなどの個人情報が第三者に盗み見られてしまったら大変ですよね。それを防いでい…
連立方程式で解く数学パズル
担当講師:石原 侑樹 / 連立方程式とは,複数の方程式からなる組のことです。例えば,2x+3y=1,5x+3y=7という2つの方程式からなる連立方程式はx=2,y=-1という解を持ちます。 1次の方程式のみならず,2次や3次の方程式の連立方程式も考えることができます。連立方程式は中学で習う基礎的なものですが,現代の情報社会を支える重要なものとなっています。 この講義ではその応用の広さを実感するため…
等差数列を遊んで学ぼう!
担当講師:齋藤 耕太 / 3, 5, 7, 9, 11この5つの数を観察すると,左から右へそれぞれ2つずつ数が増えていることがわかります。このように同じ数ずつ増えていくような数の列のことを等差数列(とうさすうれつ)と呼びます。 この数列は単純そうに見えて,実は極めて奥が深い対象です。この授業では等差数列を活用したボードゲームで遊び,その後,関連する研究結果について体験的に学習していきます。 等差数…
”温度をはかる”仕組みを学ぼう~熱電対の作製を例に~
担当講師:出村 郷志 / 温度計は,身近な様々な場所で活躍している。体温を測る,お風呂の温度を測る,オーブンの温度を測る等である。その一方で,温度をどうやって測定しているのか,という部分は表立っていないことが多い。 そこでこの授業では,温度を測る様々な手法を紹介し,その方法を物理的な観点,特に熱力学や物性物理学の観点から学ぶ。その際,二つの異なる金属を用いて温度を測る,熱電対を用いた実演を交えなが…
重力波で観る宇宙
担当講師:平松 尚志 / アインシュタインによって提案された一般相対性理論は,重い物体の周囲で時空(時間+空間)が歪むことを予言しています。そして,その後のさまざまな天体観測によって,その予言は見事に的中することが確かめられました。この時空の歪みは,水面の波紋のように,空間の中を波として伝わっていきます。これを「重力波」といいます。 重力波は,時空の歪みが真空中を伝わる現象であり,「時空のさざなみ…
“たくさん”が創る“ひとつ”の世界――相転移現象にみる集団性と秩序の誕生――
担当講師:河村 泰良 / 皆さんもご存じの通り,水は冷やすとある温度で突然氷になり,温めると水蒸気となって蒸発します。日常の中では当たり前のことのように思えるかもしれませんが,温度を変えるだけで,たくさんの水分子の集まりが,まるで一つの意思をもったかのように性質をガラッと変える――改めて考えてみるととても不思議な現象です。実はこのような現象は,水に限らず,さまざまな物質で見られます。例えば,金属を…
化学反応でわかる人体の異常
担当講師:松下 祥子 / 健康診断では, 血液や尿・画像などを用いて疾患の疑いがあるかを調べます. そして, 疾患には特徴的なマーカー分子の増減が知られており, それらの化学構造や特性を利用した検査が行われています. 例えば, 尿潜血検査において尿中に漏れ出た赤血球に含まれるヘモグロビン量を測定することによって, 腎泌尿器疾患を見つけることができます. 尿潜血試験紙には酸化されると色が変わるo-ト…
風のエネルギーの有効利用 ―庭で風力発電できる?―
担当講師:関谷 直樹 / 日本でも風力発電所が各地で建設されるようになってきました.その多くは,平原,洋上等の人口の少ない地に建設されており,日本の風力発電の割合は全発電量の1%に過ぎません. この講義では風の持つエネルギーをどの程度電気へ変換できるか試算し,太陽光発電のように各家庭でも風力による発電を利用できるか検証します.
微分方程式の理論と応用
担当講師:水野 将司 / 微分方程式とは,導関数を含む未知関数を含む方程式のことです.導関数は,その関数の変化の割合と関係があるので,微分方程式は変化の割合に関する方程式ということができます.従って,現時点での関数の変化から,未来の関数の状態を決めるルールともいえます. 私の研究室では,微分方程式の性質を調べること(理論)と微分方程式をどのように使うか(応用)の双方を研究しています.この研究のため…
複素数でつながる代数と幾何
担当講師:月岡 透 / みなさんが複素数と初めて出会うのは,2次方程式の解の公式においてだと思います。「解なし」としてしまえば,話はそこで終わってしまいますが,想像力を豊かにして,2乗してマイナス1になる数も数の仲間にしますと,2次方程式は「いつでも解を持つ」と言うことができます。 数学の勉強を進めていくと,「複素平面」というものを習うことになります。これはひとつひとつの複素数をそれぞれ平面上の点…
不変量
担当講師:笠川 良司 / 輪ゴムのようにゴムでできた物体を考えます。ゴムで作られていますから,少し力を加えれば形は少し変わります。切れない程度に力を加えていくと,かなり形は変わります。しかし,形は変わっても同じ物と普通は考えます。位相幾何学では,図形や物体の形が少しぐらい変わっても,更にはその積み重ねで見た目がだいぶ変わったとしても同じ図形,物体と考える幾何学です。少し言い方をかえると2つの図形が…
数理最適化入門 −線形計画問題−
担当講師:伊藤 勝 / 数理最適化は,「最も良い手段を求める」ための数学の理論です。より具体的には,与えられた条件のもとで,ある関数の最大値や最小値を求める問題を最適化問題といい,この問題を解くことが数理最適化の目的です。高校の数学では,最大値や最小値を求める問題が様々ありますが,それらは最適化問題の一種と言えるでしょう。より身近な例としては,路線検索サービスを使って,行き先までの交通費や移動時間…
有限・離散な数学― グラフ理論
担当講師:善本 潔 / グラフ理論におけるグラフとは,普段使われているグラフと異なり,幾つかの点とその間を結んだ線で出来ている図形のことをさします。例えば鉄道の路線図や道路図などが,その具体的な例です。グラフ理論は,そういった図形の組合せ的性質を研究する数学の一分野です。歴史的には,オイラーの一筆書きの問題,いわゆる「ケーニッヒベルクの橋問題」と呼ばれるオイラーの定理が最も古い定理の一つでしょう。…
アルゴリズムと計算の難しさ
担当講師:平石 秀史 / この数十年でコンピュータの性能が飛躍的に向上したおかげで,多種多様な問題をコンピュータ上で扱えるようになりました。みなさんが普段使っているウェブサービスでも,後ろで様々な計算が行われています。 例えば,地図アプリで目的地までの道順を調べるとすぐに最適な経路を教えてくれます。 他にも,検索サービスで調べたいことを入力すると,上から順に関連がありそうなウェブサイトを表示してく…
図形を分類してみよう
担当講師:橋口 徳一 / 数学の研究の目指すものは永遠の「真理」であると言うことができます。「真理」の探求のし方にはいろいろなパターンがあります。対象(例えば数や図形)のもつ性質を明らかにする,さらに進んで対象を分類する,方程式等の解法を見出す,あるいは,現象を記述するモデルを構成する,など様々です。私の専門である幾何学では,目標は「図形を分類することである」と言うことができます。分類するというの…
確率過程の例と応用
担当講師:西川 貴雄 / 高校までに,ランダムな現象を取り扱うための「確率」というものを学習したかと思います。「確率」が考察された起源は17世紀のフェルマーとパスカルの書簡であると言われており,そこから確率に対する研究が始まり,数多くの研究者が研究に携わってきました。20世紀になって,試行のもたらす結果(根源事象)の空間とその確率を公理として与えてその上で考える枠組みが作られました。さらに,当時で…
微分方程式-方程式の形と解の形-
担当講師:利根川 聡 / 数学の世界には,いろいろな方程式があります。一次方程式,二次方程式を学校で習ったでしょう。これらの方程式は特に代数方程式と呼ばれています。それに対し,私が研究している方程式は微分方程式と呼ばれるものです。微分方程式は,物理などいわゆる理系の分野にたくさん顔を出しますが,現代の社会では経済などでも重要な役割を果たしています。大雑把に言えば,時間の経過とともに変化するもの―運…
プラズマ実験を体験しよう!-プラズマの性質と応用-
担当講師:小林 大地 / 物質を構成する原子が十分なエネルギーを得ると,原子から電子が離れ,イオンと電子が自由に運動する状態となります。この状態をプラズマといい,固体・液体・気体に続く,物質の第四状態とも呼ばれます。宇宙空間に存在し,観測可能な物質のほとんどがこの状態にあり,私たちの身近にも,太陽や稲妻,炎,蛍光灯などプラズマが存在します。プラズマの研究は,原子核同士が融合する反応を利用した新たな…
ブラックホール熱力学と情報パラドクス
担当講師:三輪 光嗣 / 重力は私たちが日常的に感じる身近な力です。ところが,実はミクロの世界における重力の仕組みはきちんと理解されていません。このことは現代物理学における最大の課題の一つであると言えます。こうした課題に対してヒントを与えると期待されているのがブラックホールに関わる様々な理論的考察です。ブラックホールとは,光ですら抜け出すことのできない事象の地平面を持ち,外の人は中の様子を見ること…
自然界の対称性と素粒子
担当講師:三輪 光嗣 / 物理の実験は東京で行っても大阪で行ってもおよそ同じ結果が得られます。このことは重要な意味を持っています。というのは,もし実験結果が場所によって全く違ったものになるならば,授業で使う教科書も場所によって全く違った内容になっていなければなりません・・・というのは冗談ですが,このように「空間方向に移動しても物事が変わらない」という性質は,実は「運動量保存の法則」という物理法則と…
相対性理論を応用した未来を照らす特殊な光の創成
担当講師:住友 洋介 / 近年,ブラックホール連星の衝突合体から放出される重力波や,光を用いたブラックホールの観測が行えるようになってきています。ブラックホールや重力波の放出は相対性理論によりその存在が示唆されており,間接的には様々な方法で検証が行われてきましたが,科学技術の発展により,ついに直接的な観測が行える時代になりました。相対性理論は,身近なものである携帯電話やカーナビで使われているGPS…
脳の中を物理学で見る
担当講師:小松﨑 良将 / 記憶や学習をはじめとした脳の働きが,科学の言葉で語られるようになってきました。人は外からの情報を受け取ったり,学んだりするのに,その脳を利用しています。こうした脳の活動に関係した物質や現象が明らかにされつつあります。脳は神経細胞(ニューロン)により構成され,神経細胞同士が神経線維を伸ばして情報のやり取りを行っています。その神経回路は非常に複雑で,例えばヒトでは約一千億個…
歴史から考える教科書に書かれた物理学の構築
担当講師:雨宮 高久 / アイザック・ニュートンという物理学者が,1687年に『自然哲学の数学的諸原理(プリンキピア)』を著し,現在の教科書で勉強する力学の基礎体系を築いたことは皆さんもご存じかもしれません。しかし,ニュートンという天才ひとりによって力学の体系化が完成したわけではありません。例えば,ma=Fという(ニュートンの)運動方程式は,運動の第2法則の帰結として導出されるものですが,この方程…
電子が生み出す不思議な現象
担当講師:渡辺 忠孝 / 金属などの固体物質は天文学的な数の原子の配列とその中を泳ぐ伝導電子によって構成されています。ミクロな世界の住人である電子は,集団運動によって時として我々の眼に見える形で非常に不思議な現象を引起すことがあります。この授業ではそのような現象として熱電変換と超伝導を紹介し,物質科学の面白さに触れてもらいます。熱電変換現象は電気と熱の相互作用を利用したエネルギー変換現象です。固体…
ギャンブラーの破産定理と宝くじ
担当講師:山中 雅則 / 賭け事やギャンブルは絶対に勝てないことを確率を用いて数学的に保障する定理として破産定理が知られています。これはギャンブルではどのくらいの速さで破産するのかを保障する定理です。 定理の証明で使われるのは,数列の三項間漸化式と条件付き確率の恒等式のみであり,全て高校数学の範囲です。これらを元にギャンブルがいかに危険なものであるのかについて説明を行い,ネットゲームでよく見られる…
原子物理学(放射能と放射線計測)
担当講師:山中 雅則 / 放射能や放射線は人間の5感では感じ取ることができません。人間は放射線を感じる臓器を持っていないからです。放射線にはアルファ線・ベータ線・ガンマ線があります。アルファ線の正体はヘリウム原子核,ベータ線は高エネルギー電子,ガンマ線は電磁波の一種です。一方,目は電磁波を感じ取ることができますが,目の感じ取ることのできる電磁波の周波数領域は可視光であり,ガンマ線は紫外線よりもずっ…
音楽の数学(バイオリンの純正率とピアノの平均律)
担当講師:山中 雅則 / 音楽には基本的で重要な数学がいたるところに隠されています。それは大学で習う複雑で高度なものではありません。すべて高校数学の基本事項です。さて,皆さんはどのような数学が隠されているか分かりますか?三角関数,対数関数,指数関数,有理数,無理数,素数,公約数と公倍数,素因数分解,有理数と無理数の整合,多項式と整数方程式・・・などが音波,音の大きさと聞こえ方,平均律,純正律,音階…
恒星の進化と超新星
担当講師:藤井 紫麻見 / 恒星はずっと変わらないように見えるが,実際は誕生から進化,終末へと大きく変化していく。その時間スケールは私たちの一生に比べとても長いため,恒星の大きな変化の様子を観測する機会はほとんどない。私たちは非常に数多くの恒星を観測して,その性質を調べ,比較し,進化の順に並べることによって恒星の一生を解明してきた。恒星は原始星として誕生し,主系列星,赤色巨星と進化しその最期を迎え…
ブラックホールを見つけ出す -天体観測とビッグデータ-
担当講師:根來 均 / ブラックホールは,もっともよく耳にする天体の一つですが,ブラックホール自体は光を出さないために観測できず,その存在自体を含め,まだまだ謎が多い天体です。その存在を示した相対性理論からは,ブラックホールのすぐ近くでは空間がゆがみ,時間の進み方も遅くなって観測されると予想されています。では実際には,ブラックホールはどのようにして見つけ出され,どのように観測されるのでしょうか?現…
超新星で探る宇宙の膨張速度
担当講師:岩本 弘一 / 宇宙は約137億年前に起きたビッグバン(大爆発)以来今日まで膨張を続けてきたと考えられています。その膨張速度を表すハッブル定数Hoを正確に決定することは,宇宙の年齢を知ることに対応し,現代天文学の最重要課題の一つです。宇宙の膨張速度を求めるには,遠い天体までの距離とその天体が遠ざかる速度を知ることが必要です。太陽のような恒星が進化の末に到達する白色矮星(はくしょくわいせい…
MRIの原理:なぜヒトを透視できるのか?
担当講師:山田 和彦 / 皆さんはMRIという言葉を聞いたことはありますか?町中の病院やクリニックにあり,ヒトの内部を透視できる医療機器の一つです。 MRIの正式名称は磁気共鳴画像化(Magnetic Resonance Imaging)と言い,MRIは英語名の3つの単語における頭文字の略語です。私たちの体の中をのぞく不思議なカメラのようなものです。でも,実際にはレントゲンやCTとは違う「ある物理…
細胞の運命を決定づける複合糖質 ~難病の診断や治療に向けて~
担当講師:鈴木 佑典 / 私たちの体は機能や性質の異なる多種多様な細胞で構成されています。これら全ての細胞の表面は,糖タンパク質や糖脂質として存在する“複合糖質”の糖鎖で覆われており,細胞の運命を決定づけています。実際にヒトの一生を見てみると,受精から個体発生にかけて,そして,発生後も環境や年齢とともに細胞膜上の糖鎖構造は大きく変化し,特定の時期の組織・臓器に局在する各細胞の機能や性質に大きく関与…
ナノテクノロジーを化学する:エネルギー社会・医療技術への貢献に向けて
担当講師:須川 晃資 / “ナノテクノロジー”とは,分子ほどの小さなサイズの物質を扱う技術の総称であり,このような非常に小さなサイズの物質をナノ材料と呼びます。通常,我々が目にするありふれた素材でも,ナノサイズまで小さくすることで,これまでにない新しい機能を発現することがあります。そういった点で,ナノ材料に関する研究は私たち研究者にとって魅力的であり,また,我々人類の社会においても新しい技術革新の…
分子デバイスをめざす化学
担当講師:大月 穣 / 化学は,物質がどのような構造をし,それがどのように変化するかを,原子・分子のレベルから明らかしようという科学です. 化学者は,そのような研究の蓄積を学び,さらに新しい反応を発見したりしながら,世界中どこを探しても存在しない新しい分子を設計して,作り出すことができます.最近の研究では,さらに分子を望み通りに組み立てて,新しい物質を作り出すことができるようになってきました.分子…
電磁波の不思議 ~光速より速く伝搬することもある群速度~
担当講師:細野 裕行 / アインシュタインの相対性理論発表以来「全ての物質・情報は光の速度を超えることはない」ということは常識となっています。それではこの世の中に光速を超えるものが存在しないのかと言えばそんなこともありません。例えば群速度か光速を超える場合というものがあります。これは相対性理論が発表された当時,それに対する反証として議論されました。この混乱は,ゾンマーフェルトとブリアンが「波頭の伝…
人工知能とは何か?
担当講師:保谷 哲也 / みなさんは,「人工知能」という言葉を聞くと,どのようなことをイメージされるでしょうか? おそらく,手塚治さん原作の「鉄腕アトム」やスピルバーグ監督の映画「A.I.」などで登場する,人間型のロボットが思い浮かぶことと思いますが,今,現実にこのような人工知能を搭載したロボット・人工生命体の実現に向けて研究が世界中のあちこちで盛んに行われています。 この「人工知能を創る」という…