担当講師:齋藤 利晃
私たちは,新しい細胞を合成したり生体器官を維持するため,食べ物や飲み物から栄養とエネルギーを吸収しています。
私たちが廃棄する食べ残しや厨房排水,排泄物には,吸収しきれなかった栄養とエネルギーが豊富に含まれているため,そのまま川や湖に放流すると,有機物汚濁や富栄養化などの深刻な水質汚染を引き起こします。
水環境を保全し,かつ,持続可能な社会を構築するためには,排水を適切に処理して取り除くことに加え,排水中の栄養やエネルギーを積極的に回収し再利用することが求められています。
その役割を担っているのは,わずか数マイクロメートルのとても小さな生き物であるバクテリアです。バクテリアは,その多彩な能力と処世術で厳しい環境を巧みに生き抜き,排水処理はもちろん,私たちが利用し損ねた栄養やエネルギーを回収する技術へも役立とうとしています。
本講義では,バクテリアの多様性とその生命力,生き抜くための知恵を紹介しながら,バクテリアを用いた排水処理と資源・エネルギー回収の動向について概説します。