日本大学理工学部

Step2

電子が生み出す不思議な現象

物理学科

金属などの固体物質は天文学的な数の原子の配列とその中を泳ぐ伝導電子によって構成されています。ミクロな世界の住人である電子は、集団運動によって時として我々の眼に見える形で非常に不思議な現象を引起すことがあります。この授業ではそのような現象として熱電変換と超伝導を紹介し、物質科学の面白さに触れてもらいます。

熱電変換現象は電気と熱の相互作用を利用したエネルギー変換現象です。固体中の電子は電気エネルギーの流れである電流の担い手ですが、同時に熱エネルギー流の担い手でもあります。これら電気と熱のエネルギーを効率よく変換する熱電変換材料は、電気を熱に変換する機能が小型の冷蔵庫などに応用され、逆に熱を電気に変換する機能は発電機としての応用が期待されています。授業では熱電素子を用いて、温度差による発電や、電池による素子の冷却を体験します。

超伝導現象は、巨視的に観測できる最も劇的な量子現象の1つで、電気抵抗ゼロと完全反磁性(マイスナー効果)という2つの現象で特徴づけられます。超伝導体の不思議な特徴は機能材料としての無限の可能性を秘めており、現在は送電ケーブルやリニアモーターカー、エネルギー貯蔵、CT スキャンなどの実用化が実現しつつある技術に加えて、量子コンピュータなどの未来のテクノロジーへの応用も期待されています。授業では、超伝導体の不思議な性質を目の当たりにすることで、電子の集団運動が生みだす不思議な現象を体験します。

渡辺 忠孝
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