担当講師:平松 尚志
アインシュタインによって提案された一般相対性理論は,重い物体の周囲で時空(時間+空間)が歪むことを予言しています。そして,その後のさまざまな天体観測によって,その予言は見事に的中することが確かめられました。この時空の歪みは,水面の波紋のように,空間の中を波として伝わっていきます。これを「重力波」といいます。
重力波は,時空の歪みが真空中を伝わる現象であり,「時空のさざなみ」とも呼ばれます。
重力波と電磁波には多くの類似点がありますが,大きな違いは「相互作用の強さ」です。重力は非常に弱い力であるため,途中に障害物があっても,重力波はほとんど減衰せずに透過してしまいます。アインシュタインの予言からちょうど100年後の2015年9月,アメリカの重力波レーザー干渉計 LIGO と呼ばれる検出器によって,この重力波が初めて直接検出されました(2017年ノーベル物理学賞)。
このとき観測された重力波は,約13億光年彼方で2つのブラックホールが合体した際に生じたもので,ブラックホール連星の合体を初めて直接観測した瞬間でもありました。
重力波の極めて高い透過性のおかげで,約138億年前,宇宙が誕生した頃に発生した重力波も,当時の情報を保ったまま宇宙空間を伝わっていると考えられています。重力波を観測することで,天文学や宇宙論は新たな時代へと突入しています。
本講義では,重力波とはどのような現象なのか,そして重力波観測によって私たちが宇宙について何を知ることができるのかについてお話しします。

(図版・画像等の出典や引用元:https://science.nasa.gov/mission/wmap)

(図版・画像等の出典や引用元:https://www.ligo.caltech.edu)

(図版・画像等の出典や引用元:https://www.ligo.caltech.edu)