細胞の運命を決定づける複合糖質 ~難病の診断や治療に向けて~

担当講師:鈴木 佑典

私たちの体は機能や性質の異なる多種多様な細胞で構成されています。
これら全ての細胞の表面は,糖タンパク質や糖脂質として存在する“複合糖質”の糖鎖で覆われており,細胞の運命を決定づけています。実際にヒトの一生を見てみると,受精から個体発生にかけて,そして,発生後も環境や年齢とともに細胞膜上の糖鎖構造は大きく変化し,特定の時期の組織・臓器に局在する各細胞の機能や性質に大きく関与しています。
例えば,細胞膜は脂質二重膜からできていますが,糖脂質の糖鎖構造の変化によって,細胞膜の流動性や各種受容体の局在が大きく変わります。また,ほとんどのタンパク質は何らかの糖鎖修飾されており,タンパク質の局在や機能において糖鎖修飾が重要であることが報告されています。
そして,近年では,様々な難治性疾患においても複合糖質の糖鎖構造が重要であることが明らかになりつつあることから,本講義では,診断や治療の標的としてどのように糖鎖科学が応用されているのかを紹介していきます。