日本大学理工学部 日本大学大学院理工学研究科
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2019年08月25日

メディア

物質応用化学科 超分子化学研究室 須川晃資准教授らの研究成果の論文が、アメリカ化学会の学術雑誌「ACS Applied Energy Materials」に掲載されます。

物質応用化学科の須川晃資准教授らをはじめとする日本大学の研究グループは、相樂隆正教授、田原弘宣助教(長崎大学工学部)芳賀正明教授、小澤寛晃助教(中央大学理工学部)らとの共同研究により、二硫化鉄(FeS2)で形成された半導体ナノ結晶が光と共鳴することで、自己の光機能を増強させる効果があることを世界で初めて明らかにしました。

金属でできたナノ粒子は、光と共鳴(表面プラズモン共鳴)することにより、「光を閉じ込める」という不可思議な機能を発現します。これは現在、太陽電池や太陽光エネルギーを利用した水の分解反応の高性能化、副作用のない癌治療技術や高感度診断技術への応用が模索されており、先端科学研究において非常に注目されている現象です。しかし、この現象は、主に高価な金・銀のナノ材料によってのみ実現されています。さらに、太陽電池などでは、この現象によって性能向上が見込める一方、金属の本質的な特性が性能の低下の要因になることが課題でした。須川准教授らは、太陽電池材料自身に「光閉じ込める機能」を持たせることができれば、理想的な「光閉じ込め機能」を活用する高機能な太陽電池が実現できる、との戦略のもと、研究を進めてきました。

本研究では、安価で地球上に豊富に存在する元素のみで構成されたFeS2半導体ナノ結晶の精密合成技術を確立したところ、近赤外域にて不可思議な光吸収ピークが認められました。理論的な検証を行ったところ、近赤外域にて、「Mie共鳴」と呼ばれる光との共鳴現象によって、「光が閉じ込められる」機能が発現することを突き止めました。さらに、その光閉じ込め効果によって、FeS2自身の光吸収能が大幅に増強されていることを実証しました。FeS2ナノ結晶は、現在あまり利用できていない低エネルギーな近赤外光で駆動できる次世代型太陽電池の候補材料の一つであり、上述の「太陽電池材料自身に光閉じ込め機能を発現させる」ことを世界で初めて実現できたことになります。
この成果は、新たな高性能太陽電池の開発、新しい非侵襲的な医療技術に応用できる重要なものであり、この度、アメリカ化学会の学術雑誌「ACS Applied Energy Materials」に掲載されることとなりました。

物質応用化学科 超分子化学研究室 須川晃資准教授らの研究成果の論文が、アメリカ化学会の学術雑誌「ACS Applied Energy Materials」に掲載されます。

物質応用化学科 超分子化学研究室 須川晃資准教授らの研究成果の論文が、アメリカ化学会の学術雑誌「ACS Applied Energy Materials」に掲載されます。

物質応用化学科 超分子化学研究室 須川晃資准教授らの研究成果の論文が、アメリカ化学会の学術雑誌「ACS Applied Energy Materials」に掲載されます。