日本大学理工学部 日本大学大学院理工学研究科
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2024年03月25日

メディア

【プレスリリース】日独国際共同の宇宙実験「Phoenix-2」が無事成功しました

 日本時間3月24日(18時45分),日独国際共同で進めてきた宇宙環境を利用した燃焼実験(プロジェクト名:Phoenix-2)の装置を搭載したTEXUS 60号機(※1)がスウェーデンのエスレンジより打ち上げられ,無事実験が成功しました。

 本研究プロジェクトは,JAXAとDLR(ドイツ航空宇宙センター)の国際共同の枠組みのもと,宇宙科学に関連したミッションをテーマとするJAXA/ISAS小規模計画(日本大学ほか日独4大学,PI: 理工学部・田辺光昭教授),及び日本大学学長特別研究(PI:生産工学部・野村浩司教授)の支援により実施されています。エンジンの燃焼過程で生じる冷炎(※2)と呼ばれる炎を微小重力環境で観測することで,従来の化学反応モデルを再検討し,デトネーションエンジン(※3)やSAF(Sustainable Aviation Fuel)(※4)を利用した低コストの液体ロケットエンジンやジェットエンジンなど,次世代の革新的なエンジン設計に役立てます。
 この実験の成果を継承し,国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟船内利用フラグシップミッションでカーボンニュートラル燃料の燃焼現象解明に取り組んでいく予定です。

関連リンク

https://aero.cst.nihon-u.ac.jp/tanabe/cool-flame-dynamics/ (田辺研究室)

https://aero.cst.nihon-u.ac.jp/saito/droplet-ignition/ (齊藤研究室)

https://www.cit.nihon-u.ac.jp/research/researchers/mechanical-engineering/ (野村研究室,菅沼研究室)

https://www.isas.jaxa.jp/researchers/ss/ (小規模計画)

https://humans-in-space.jaxa.jp/kibouser/subject/invitation/flagship/73800.html(JAXA・フラグシップミッション)


※1 TEXUSロケット:Technologische Experimente unter Schwerelosigkeitの頭文字から名付けられた微小重力実験に使用される観測ロケット。到達高度は約250 km,最長で約6分間の微小重力環境を実現する。

※2 冷炎:熱炎と呼ばれる温度が高い炎が生じる前に生じる比較的低温(〜1000 K程)の炎。連鎖分岐反応(1956年ノーベル化学賞研究)に分類される特徴的な反応機構により生じる。熱炎やデトネーションの発生過程に影響を及ぼす。

※3 デトネーションエンジン:超音速で伝播する衝撃波により衝撃波前方の未燃混合気を圧縮・反応させることで生じるデトネーションを利用したエンジン。

※4 SAF:カーボンニュートラルで持続可能な航空燃料。生物由来のバイオ燃料や,CO2から作られる合成燃料を航空機向けに調整した燃料の総称。

ペイロードに搭載する燃焼実験装置

打ち上げの様子

Phoenix-2メンバー

▼本件に関するお問合せ

日本大学理工学部 庶務課
TEL : 03-3259-0514
E-mail : cst.koho@nihon-u.ac.jp