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活躍する卒業生




宇宙エレベーター建設構想イメージ(提供:大林組)
高校時代はサッカーに夢中で、建築に対する興味は漠然としたものでした。どの大学に進もうかと迷っていた時、高校の先生から「建築を学べる大学はたくさんある。しかし、海洋建築工学科は建築だけでなく、海洋環境や工学といった幅広い学問を教えてくれる。これからの時代、海洋資源をより一層活用していくべき未来がくる。何事にも貪欲に、前へ前へと進もうとする君にぴったりだ」と奨めてくれました。それから晴れて海洋建築工学科に入学。大学講義では、建築的学問だけでなく、建物が海や河川の持つ美しい景観や空間と交わりあい、豊かな環境を創ることを学びました。さらに、理工学部には豊富な研修制度が整っています。その中で私はヨーロッパ主要都市を巡る約2週間の海外研修プログラムに参加しました。その時、建物は都市の環境や文化と上手に共存するデザインとしなければ、人に感動や快適な生活を与えることはできない、建物単体のかっこよさだけがデザインではないと強く実感しました。いま思い返せば、私のデザインへの考え方を構築した貴重な経験でした。
そして就職。
いま、大手ゼネコン・大林組で設計部主任を勤めています。入社してから大型工場、集合住宅、研究所、事務所と多種多様な建物を設計、デザインし、あっという間に7年が経過しました。過去設計した建物の中で特に思い出深いのは、公園に面する敷地に設計した小さな事務所です。完成後しばらくたった時、地域の住民の方から「この事務所ができてから、公園だけでなく、その周辺までゴミが減って綺麗になったね。建築がまちのモラルをつくることがあるんだね」と言われました。デザインが人の心を動かした瞬間であり、大学時代で学び、就職してから目指した「建物と周辺環境の共存」が実現した何よりうれしい言葉でした。いま大林組では、地球と宇宙をつなぐ総延長約10万キロのタワー、「宇宙エレベーター建設構想」が2050年の完成を想定し始動しています。海洋建築工学科で学んだ知見を糧に、その宇宙エレベーターの発着場、「海上ターミナル」を設計することが私の夢のひとつです。自分の夢や課題を見つけ、技術と創造力で挑戦することの大切さを教えてくれたのが理工学部です。
(取材 2018.3)